フレンチプレスと金属フィルターの違いを検証
フレンチプレスと金属フィルター、どちらも濾過する部分の性質は同じなので、どちらにも油分や微粉が含まれた、どっしりとしたコーヒーそのものの良さを感じられる液体になるのだろう。
と思っているだけだったので、本当に同じような液体が抽出されるのか、もしくは違うのか。違うのならどう違うのか、確認してみることにしました。
※金属フィルターの検証ではないです。
初めに、使用した器具の特徴を確認しておきます。
・金属フィルター
KINTOの手がける”SLOW COFFEE STYLE”と言うプロダクトシリーズの物。
・フレンチプレス
bodumの350mLです。
検証方法ですが、今回はカフェ・バッハから発行されている「コーヒー抽出の法則」に載っている抽出方法にのっとって行います。
以前フレンチプレスのレシピを検証した時にもこの中の抽出方法を使って検証しているものがあるので、”情報源が同じ→比較できる”と考え、今回は金属フィルターの抽出のみを行いました。
※検証時の条件
・使用グラインダー:NEXT G
・使用器具:KINTO SCSコーヒーカラフェ+ステンレスフィルター(2cups)
・使用濃度計:ATAGO PAL-COFFEE(BX/TDS)
・器具を温めておく
・TDS濃度測定前ゼロ校正実施
・検体液は微粉の沈殿をしばらく待つ
・液温の安定を待って測定
(器具以外フレンチプレスの検証時と同条件)
※使用した豆もフレンチプレス検証時と同じ、ジュピター Sクラスブレンドを使用
そして本に書いてある通りに抽出を行い、結果を5段階でチェックしてみたものが以下です。
フレーバー :”3”
酸味 :”2”
ボディ、コク:”3”
アフター :”4”
甘さ :”2”
苦味 :”4”
TDS:0.89
~コメント~
フレンチプレスほどではないにしても、程よい重厚さを伴ったようなフレーバーを感じることが出来た。
酸味は気持ち弱く、バランス的にはキレのある苦味がしっかりと前に出てくるような印象。
甘さは余り感じられなかった。
考察
結果的に、違いはありました。
どちらも確かに質感は似ていました。油分や微粉が抽出液にも残り、どしっと地に根を張っているような印象です。
ただFPは酸味、苦味、甘さと言った成分がバランスよく出てくるのに対し、金属フィルターは酸味よりもどちらかと言うと苦味が前出てくるという点が印象に残りました。
金属フィルターは、湯がドリッパー内に余り留まりません。例えばペーパーフィルターだったら湯がゆっくり抜けていくため、その間で蒸らしが行われます。
しかし金属フィルターは湯が抜けていってしまうため、蒸らしを行っている条件は明らかに違います。勿論抽出時にもその条件は影響しているはずで、それらが”金属フィルターでの味”を作っているのでしょう。
かと言って例えば、湯のホールドを補助する目的も含めてメッシュを少し細くすると言う事は、フィルターの目が詰まってしまうでしょうから得策ではないでしょう。
なのでネットや動画でも言われていたりしていますが、湯温を上げて抽出するのは有効ではないかと思いました。
後は抽出時に湯を細く注ぎ、抽出時間を伸ばしにいってみるのも味に影響を与えるでしょう。
それら湯温や抽出時間を再調整して(FPでの液体に近づくようにしてみて)、もし更に苦味まで増幅してしまったりして更にバランスが崩れると言ったことがあるのなら、金属フィルターのベストが今回のデータと一旦考えることが出来ると思うので、後日今回のレシピを元にパラメータを動かしてみて味の変化を検証し、そこで最終的なFPと金属フィルターの違いの落としどころを探りたいと思います。