考え方

接客とは

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アルバイトなどの求人でも一番多い職種の一つに”ホール”や”接客業”があると思うが、”接客”とはどう言う仕事なのかを本当の意味で教えてくれる職場はかなり少ないと思う。

接客の仕事と言われてイメージするのは、飲食店なら注文を聞いたり商品を提供する。アパレルなどのお店なら商品を陳列したり、お客さんのサイズを聞いてあげたり、最後はお会計をする。

しかしそれら接客の仕事として広く言われている事は”ただの作業”であり、作業だから繰り返していれば大体の人なら出来る様になるし、誰にでも出来る事だと思われているから給料も安い。



では、個人的に感銘を受けた接客の具体例をいくつか出したいと思う。



あるアパレル店員の場合

以前僕は自分の兄弟の結婚式のためのスーツを新調するために、沢山の店を回っていた。
時間も無かったので、店に入ると直ぐに店員さんに要件や目的を伝える。

「近々兄弟の結婚式があり、式に着ていくためのスーツを探している」と。親族の結婚式に参列するのは初めてだったので、インターネットでもマナーなどは調べてはいたが、どういったスーツが適切なのかも聞きたいと思っていた。

百貨店を中心にいろいろな紳士服売り場やブランドのショップを十数件回った。サイズやデザインなどしっくりくるスーツをいろいろと見て回っていたのだが、その中で一人だけ、僕の要件を聞いてまず「おめでとうございます」と言ってくれた店員さんがいた。

それまで自分自身なにも思っていなかったが、よく考えればそりゃそう言うべきだなと思った。

だけど、大きな百貨店に入っている沢山の有名な、中には数十万円するスーツを販売しているブランド店も含めて、おめでとうございますと言ってくれた人はたった一人だけだった。


職場のスタッフAの場合

今自分の働かせてもらっている店は、流行りを取り入れているカフェと言うよりかは喫茶店だ。よって昔からの年配の常連客もたくさん来られる。

ある夜の常連さんで、必ずご夫婦で来られる年配の方がおられた。旦那さんは身体が不自由なようで、歩くのは非常に遅くいつも奥さんの肩を借りて席に着く。

頼まれるものは二人とも必ずブレンドと、日によって違うケーキを選んで食べる。そんなお二人に対してあるスタッフが行っていた接客に感心してしまった。


そのスタッフは、旦那さん側にケーキフォークを準備するとき、必ず左側に並べていた。普段の旦那さんの歩き方、様子から、右半身が不自由だと分かっていたからだ。

誰が見ても、身体が不自由なことは分かる。しかし、身体がどう不自由で、だからどうしてあげれば良いのかをどれだけの人が考えていただろうか。
書いてしまえば簡単な事の様に見えるが、少なくとも自分はそこまで至らなかった。


職場のスタッフBの場合

今の店は規模も喫茶店の中ではかなり大きく広い方で、頻繁にデイサービスなどから利用しに来られる事もある(コロナ禍以降は無くなったが)。かなりのご年配の方々が、車椅子でそのまま席に着かれてケアスタッフの方々と一緒に喫茶をして帰られる。

ある時そんなかなりのご年配の方が、少し寒いのでひざ掛けを貸して欲しいと店のスタッフに伝えた。
そのスタッフはまだ経験は浅かったが店にひざ掛けがあることも、置いてある場所も把握していたので取りに行ったのだが、持って行った時にそのご年配の方に渡すだけではなく、膝に掛けてあげていた。

これまで自分も含め誰もそんな事をやっているのを見た事はなかったが、掛けてもらったその方はどれだけ嬉しかっただろうか。
その気配りというか優しさに、純粋に感心してしまった。


心をもって寄り添う

多くの大人たちは接客という仕事を深く考えず軽んじているように思うし、接客をしている人たちもまた、その職業の価値を自身で下げていると思う。

そんな仕事が接客業だと広く認識されてしまっているから、客も店員を見下げたり横柄になってしまったりする。



繰り返すが、接客業に従事している殆どの人が行っているそれは”作業”だ。どんな仕事でもそうだが、本当の接客は簡単ではない。

仕事が忙しく忙殺されていたり売上などを考えていると余裕がなくなり、きちんと人に向き合えない。相手と話しながら、別の事を考えているのだ。

けれど向き合う事が仕事なのだから、寧ろそんな時こそゆっくりと向き合うことで自分を落ち着かせることが出来る。


客=人に接する。思いやりを持って接する。もう到来しているAIの時代、接客業も消えていくと言われている様だが、大多数の人が行っている接客はその通り必要なくなっていくだろう。

もし本当に価値のある接客をしている人がいるのなら、その人はまだコンピュータが獲得出来ていない”心”を持って仕事をしているはずなので、まだ暫くは生きていけるか形を変えてその人自身の価値を活かせ続ける事が出来ることだろうと思っている。

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